旅行やドライブをしていると、予定していなかった場所にふらっと立ち寄ることがあります。
そして、そんな寄り道が思いがけず印象に残ることがあります。
以前、冬の九州で日帰り温泉へ向かって車を走らせていたときのこと。
道路沿いに「炭酸泉」と書かれた看板を見つけました。
もともと、この温泉に行く予定はありませんでした。
でも、
「炭酸泉か……ちょっと気になるな」
温泉好きとしては、この文字を見てしまうと素通りできません(笑)。
予定を少し変更して、立ち寄ってみることにしました。

「山里の湯」に到着。見た目は素朴な温泉施設
看板に従って進んでみると、「山里の湯」に到着しました。
大きな温泉施設というより、どこか昔ながらの雰囲気を感じる素朴な佇まいです。
正直、この時点では「ちょっと珍しい炭酸泉なのかな」くらいに思っていました。
ところが、このあと想像以上の炭酸泉を体験することになります。

店主に見せてもらった古い雑誌。そこには驚きの写真が
受付で店主の方と話をしていると、以前取材を受けたときのものと思われる、かなり年季の入った雑誌を見せてくれました。
そこに載っていたのが、温泉に浸かった腕に炭酸の泡がびっしりと付いている写真。
「えっ、本当にこんなに泡が付くの?」
写真を見た瞬間、一気に期待が高まりました。
山里の湯には共同風呂と貸切湯があり、店主の方に聞いてみると、貸切湯のほうが炭酸をより強く感じられるとのこと。
しかも、このときはたまたま貸切湯が空いていました。
それなら迷う理由はありません。貸切湯に入ってみることにしました。
入ってびっくり。手の甲が炭酸の泡だらけに
貸切湯に入って、しばらくお湯に浸かっていると、すぐに変化が分かりました。
手の甲を見ると、小さな泡がどんどん付いてきます。
最初は「おお、泡が付いてきた」と面白がっていたのですが、時間が経つにつれて、その量がどんどん増えていきました。
そして気が付けば――
手の甲が炭酸の泡でびっしり。
店主の方に見せてもらった雑誌の写真は、大げさでも何でもありませんでした。
これまで炭酸泉に入ったことはありましたが、ここまで目に見えて泡が付く温泉は、私にとってかなり印象的でした。

実際の貸切湯の様子。動画で見ると、お湯の動きや炭酸泉の雰囲気がより伝わると思います。
ぬるめのお湯なのに、体はポカポカ
炭酸泉ということもあって、お湯は熱めではなく、どちらかというとぬるめでした。
訪れたのは寒い時期。最初は「この湯温で温まるのかな?」と思ったのですが、ゆっくり浸かっていると不思議と体がポカポカしてきます。
熱いお湯に入ったときとは少し違う、じんわりと温まっていくような感覚でした。
そして、入浴する際に店主の方から言われたのが、「窓を締め切らないように」ということ。
炭酸泉から出る二酸化炭素がこもると危険なため、換気をしながら入るよう説明を受けました。
強い炭酸を目で楽しめる一方で、こうした注意事項はきちんと守って入浴する必要があります。
浴場には、炭酸泉について次のような説明も掲示されていました。

実際のところ、この温泉で一番驚いたのは難しい効能の話よりも、目の前で手にびっしりと付いていく炭酸の泡でした(笑)。
貸切湯は50分2,500円。冬は少し長めだった?
私が利用した貸切湯は、記憶では50分2,500円でした。
ただ、訪れたのが寒い時期だったためか、店主の方から「今の時期は少し長めでいいよ」というような案内があり、実際には60分ほど利用できたと記憶しています。
このあたりは時期によるサービスだったのかもしれませんし、現在も同じとは限りません。料金や利用時間については、訪問時に確認するのが確実です。
待たずに入れたのは、かなり運が良かったのかも
私たちが到着したときは、ちょうど貸切湯が空いていて、待つことなく入ることができました。
ところが、入浴を終えて帰る頃になると、貸切湯の順番を待っている方がいました。
記憶では2組ほどだったと思いますが、少なくとも1組は車の中で待っていました。
「あれ? 来たときにすぐ入れたのって、かなりタイミングが良かったのでは……?」
道路沿いの看板を見て偶然立ち寄り、しかも強い炭酸を楽しめるという貸切湯に待ち時間なしで入れた。
振り返ってみると、なかなか運の良い寄り道でした。
予定外の寄り道で出会った、忘れられない炭酸泉
最初から「山里の湯」を目指していたわけではありません。
別の日帰り温泉へ向かう途中、道路沿いでたまたま見つけた「炭酸泉」の看板。
ほんの少し予定を変えて立ち寄っただけでしたが、そこで待っていたのは、手の甲が泡だらけになるほど印象的な炭酸泉でした。
ぬるめのお湯にゆっくり浸かりながら、手に次々と付いていく小さな泡を眺める。
あの光景は、今でもよく覚えています。
旅行では、有名な観光地や事前に調べた場所を訪れるのも楽しいものです。
でも、ときには予定になかった場所へ寄り道してみる。
そんな偶然から、思いがけない体験に出会えることがあります。
「あの看板、気になるな」
そう思って車を曲がったことで出会えた、九重の強炭酸泉。
山里の湯は、そんな「偶然の寄り道も旅の楽しさ」と改めて感じさせてくれた温泉でした。
